第55章

紡績工房で使っていた蜘蛛糸の固化剤は、すでに別の担当へ引き継がれている。だからアリシアが工房の細々したことに口を出す必要は、もうなかった。

それでも最近、工房には中級の魔蜘蛛糸がいくつも持ち込まれ、試しに中級蜘蛛糸布が一まとまり織り上がったらしい。この等級の布は数が出ない。となれば当然、まずは身内で使うことになる。

公爵は「中級蜘蛛糸布なら用途も広がるだろう」と見て、アリシアに意見を求めてきた。

中級蜘蛛糸布は、たしかに防御効果を持たせた衣服に向く。とりわけ魔法ローブに最適だ。

折よく、来る途中で執事から「仕立て屋に頼んで、そろそろお嬢様のお召し物を数着」と言われていたところでもある...

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